2016年の4月に税理士事務所を独立開業してから、いろいろ開業準備をしてきましたが、最初に行ったのは合同会社の設立でした。
私自身は開業税理士のため、税理士業務は個人事業でしかできないので、通常は法人を作る必要はありません。
しかし、税理士業務以外の仕事は法人で請けて区別したいことと、社会保険料の負担を軽減したいがために合同会社を設立しました。
目次
合同会社の特徴
合同会社のしくみ
合同会社は持分会社といい、”出資者=経営者”の関係であらわされます。
株式会社では、出資していなくても役員になれますが、合同会社では、出資していなくては社員(株式会社でいう役員)にはなれないのです。
ただし、社員に業務執行権(経営に参加する権利)を与えないとすることはできるため、出資したからといって必ず経営に参加できるとは限りません。
設立費用
設立費用は、株式会社に比べてかなりお安くてすみます。
主な費用はこちら
合同会社 | 株式会社 | |
---|---|---|
定款認証手数料 | 0円 | 50,000円 |
定款印紙代 | 40,000円 (電子定款は0円) |
|
登録免許税 | 60,000円※ | 150,000円※ |
合 計 | 100,000円 | 240,000円 |
※資本金の額×7/1,000との低い方の金額
メリットとデメリット
ひとり社長や家族経営の会社ならば、ほとんどデメリットは感じないのではないでしょうか。
メリット
- 設立費用が安い
- 定款認証不要のため、株式会社よりも短い期間で設立できる
- 役員の改選がないので、改選による変更登記が不要
デメリット
- 株式会社に比べて知名度が低い
- 出資者=経営者なので社員に就任するには出資することが必要
- 上場できない
設立手続のながれ
定款の作成
定款は法務局で公開されているひな形をベースに、書籍やサイトを参考に次のようにしました。
合同会社○○ 定款 第1章 総則 (目的) (本店の所在地) (公告の方法) 第2章 社員及び出資 (社員の氏名,住所,出資及び責任) (社員の責任) 第3章 業務執行権及び代表権 (業務執行社員) (代表社員) 第4章 社員の加入及び退社 (任意退社) (法定退社及びその特則) 第5章 計算 第6章 附則 (定款に定めのない事項) 以上,合同会社○○を設立するため,この定款を作成し,社員が次に記名押印する。 平成○○年○月○日 有限責任社員○○○○ |
目的事項は、明瞭性がなかったりすると登記の際、法務局で却下される場合がありますので念入りに下調べをすることをオススメします。
私は次のようなサイトを参考にしました。
E-目的ドットコム
定款の電子署名
紙で定款を作成すると印紙代が4万円かかってしまうのですが、電子定款にすると4万円の印紙代がかかりません。
そのためには電子署名ができるAcrobatなどのソフトや電子証明書が必要になるのですが、そのためだけに高価なソフトをかうのもなぁと思っていたところ、ネットで電子署名をしてくれるサービスを見つけました。
私が利用したのは次のところで、合同会社の場合は1,500円で電子署名をしてくれます。
行政書士&社労士事務所 横浜ベイサイドオフィス
【電子署名完了までのスケジュール】
- 1日目 申し込みのメールを送信
- 2日目 先方より原稿をメールで入稿依頼のメールがあり、Wordで作成した原稿と印鑑証明書を送信
- 4日目 校正後の定款原稿と入金依頼のメールがあり、校正箇所を確認後、入金をして、その旨をメール送信
- 5日目 電子署名された定款をメールで受け取る
※2日目のメールの送信が、夜遅かったので、営業時間内に返していればもう1日早かったかもしれません。
メールで送られてきた電子署名入りの定款をCD-Rにコピーすれば、電子定款の作成が完了です。
法人実印の作成
設立登記申請書に法人実印を押印する必要があるので、それまでに作成しましょう。
こだわりがなければ、ネット通販が安くて早いです。
登記申請書類の作成
電子定款が作成できたら、次の登記申請書類の作成です。
- 合同会社設立登記申請書
- 代表社員、本店所在地及び資本金を決定したことを証する書面
- 代表社員の就任承諾書
- 払込みがあったことを証する書面
- 印鑑届出書
様式のひな形は法務局のホームページを参考にしてください。
法務局 合同会社設立登記申請書
登記申請書類の提出
提出書類は次のものです。
- 合同会社設立登記申請書
- 電子定款(CD-Rにコピーしたもの)
- 代表社員、本店所在地及び資本金を決定したことを証する書面
- 代表社員の就任承諾書
- 払込みがあったことを証する書面
- 出資者全員の印鑑証明書
- 印鑑届出書
法務局では事前チェックをしてくれる窓口がありますので、そこで念のためチェックを受けてから、登記申請書に6万円の収入印紙(法務局で売っています)を貼り付けて、窓口に提出します。
登記の完了
登記申請書類を法務局に提出すると、大体10日ぐらいで完了しますと言われますが、私の場合は4日ほどで完了していました。
確認する方法は、電話で法務局に直接完了しているかを確認することもできますし、また、登記ねっとという登記簿謄本の取得ができるサイトに登録をして、設立した法人の謄本が取れる状態になっていれば、登記が完了しているということになります。
登記が完了したら、登記簿謄本を取得します。
登記ねっとで取得しても構わないのですが、印鑑カードを交付してもらわないといけないので、私は直接法務局に行って、印鑑カードの交付のついでに謄本を取得してきました。
印鑑カード交付申請書(Excel)(クリックするとダウンロードされます)
印鑑カード交付申請書記載例
まとめ
税理士事務所で勤務していた時代に、株式会社の設立はしたことあったのですが、それに比べれば手続はカンタンです。
設立費用も安く(私の場合は61,500円でした)、早ければ10日以内に会社が作れてしまいます。
のちに株式会社に組織変更することもできますし、その場合のコストも最初から株式会社を設立していた場合とそれほど変わりません。
特に、ひとり社長の会社や家族経営の会社、設立コストを抑えたい会社、屋号を使うので会社名に合同会社がついても差し支えない場合は、合同会社がオススメです。
また、私のように士業をしていて、個人事業がメインで法人がサブ的な位置づけであれば、法人の役員報酬を抑えることによっては、
”国民健康保険料+国民年金>健康保険料+厚生年金保険料(法人負担分も含む)”
の関係が成り立ち、差額で合同会社の設立費用もペイできてしまいます。
◆編集後記◆
税理士の井ノ上陽一さんのブログセミナーに参加したのが2015年の4月で、それからかなり時間が経ってしまいましたが、1回目のブログをなんとか書き上げることができました。
丸2日かかってしまい、毎日更新している方々は本当にすごいですね。
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山端一弥
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